模型のスケール

その昔、50年代〜60年代初期までのプラモデルは箱の大きさに合わせたものが結構多く、スケールはバラバラでした。ちなみに上の写真はレベルのBー52キットでスケールは1/174です。かわいいXー15が付くデスクトップモデルにとてもふさわしいキットです。どんな飛行機もこの箱のサイズ(ほぼ30cm)にしてしまうというのは、スケール絶対の現在のプラモデル・シーンからすると「何とおおらか」または「大雑把な話」と受け取られます。しかし模型本来の目的を考えると、たとえばプラモ以前に一般的だった木製航空機のデスクトップモデルなどは個々の機体の特徴を再現するのが第一目的で、スケールを統一するのは二の次でした。スケールとは形状を伝える第一目的のためには自在に変化できる要素だったのです。

いまでこそハンパ・スケールなどと呼ばれてしまうこれら初期のプラモの縮尺には生産流通に便利というマニファクチャー側の事情だけでなく、実はこういう背景もあったのです。ちなみに飛行機プラモデル直系の祖先と言われている戦時中のRECOGNITION MODELでも一番に必要な〜友軍機か敵機かを識別する〜教育用なのでスケールの統一はされていませんでした。

もちろん相対的な大きさを把握できるように同一スケールで模型を集めるのは楽しいものですが、飛行機の場合、実物の大きさが著しく違うので統一スケールで全てを揃えると言ってもいろいろと不都合が出てきます。そこでコレクションに適したスモールスケールから、じっくり作り込むビッグスケールまで、1/144、1/72、1/48、1/32、1/24と多くのスケールが用意されているわけですが、よっぽど頑固な統一スケール派モデラーでない限り、いくつかのスケールにまたがりコレクションをしているのが現状でしょう。考えるにスケールからスケールへと意識をワープさせる事こそが、縮尺模型の楽しみ、ミニチュアに魅入られたモデラーの特権という気さえしてきます。事実、完成模型を眺めている時など我々の眼(意識)は望遠、接写、ズームと自由自在なのではないでしょうか。

このシリーズは、ほかにBー36、B-29、B-24, B-25などがスケールを無視した同じ大きさで発売されていました。これらを並べてみると個々の機体が俄然それぞれのカタチを主張してきます。これもまた興味深く、統一スケールと違った楽しさがあります。これが楽しめれば、1/50と1/48の微妙な差に歯ぎしりする事もありませんネ。

模型として「適度な大きさ」と言っても人それぞれ違うでしょうが、私の場合1/32レシプロ単発機程度、1/72 四発機ぐらいの大きさが良いようで、スケールよりも模型の絶対的な大きさに好みがあるようです。これは私たちが普段本を読んだり、模型を手にとって鑑賞する時の目からの距離が(ほぼ30cm)一定している事と関係しているように思われます。

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