「走るゼロ戦52型」
ミドリというメーカーがかつて1/28で日本軍機を出していたのを覚えていますか。シリーズには「飛燕沍^改」、「零戦52型」、「隼2型」、「紫電改」があり、何れもモーターで尾輪を駆動させ走り、麦球の翼端灯も点滅(!)するというモーターライズアクションキットでした。もちろん方向舵その他もオール可動です。
こちらでは当時Paramountというメーカーが箱替えでこのシリーズを売っており、先日このParamount零戦52型を入手しました。紺のボディーのマブチNo.15モーターも入っており大変懐かしく感じた次第です。このParamountはカナダが本社ですがUPCやENTEXと同じように日本製キットをアメリカ、カナダで販売していたいわゆる箱替えメーカーです。他にニチモ、イマイ、オオタキ等のキットを箱替えで販売していました。
ミドリ1/28日本軍機の発売時期が正確に分からないのですが、この1/28というスケール、かつてレベルから同スケールで第一次大戦の複葉機が3機出ていましたが、たぶんこれを意識したのでしょう。企画段階でレベル1/32はまだ出ていなかったのではと想像されます。いずれにせよこの1/28第二次大戦日本軍機は、後にエアフィックス、バンダイが1/24スケールの大戦機を出すまでは最大の大戦機モデルとしてプラモ界に君臨し(?)たのでした。当時の模型雑誌にもスケール派の為の修正とディテールアップの制作記事が載り、多くの先輩達をその気にさせたのでした。後にこれら金型は童友社に渡り、一部のキットでは翼端灯のギミックがオミットされましたが再版されたことがあります。私はこの童友社版「紫電改」をこちらで見つけ作ったことがあります。ギヤの音もけたたましく走る様は、まるでブリキのおもちゃですが特に問題もなく可動し、よく設計されたメカと言えるでしょう。
ちなみにこの1/28日本機シリーズ、外形のほうはと言うと零戦が最初のキットらしく出来が悪く、他は意外に雰囲気を捉えています。と言っても今のスタンダードからすればまったく違う次元のハナシですが。「飛燕」「隼2型」は、機種別に見れば今でも最大のプラモデルで、私など懐かしさもあり、それなりに魅力を感じてしまいます。ただタミヤさん、ハセガワさんが破竹の勢いで世界に高品質大戦機キットを送り出すこのご時勢では、童友社さんもちょっと再版はためらうでしょうね。(こっそり出してくれると嬉しいんですが....。)
これと非常に似た設計の大滝1/35「走るゼロ戦52型」というキットがあるので紹介します。同社からは「走るゼロ戦22型」なるキットも出ていたようですが、内容はほとんど同じと思われます。このキットにも発売の年が記されておらず、ミドリ1/28「零戦」と、どちらの発売が先なのか分からないのですが影響は明らかです。この大滝1/35「零戦」も艦艇キットがスクリューを回すように、ギヤボックスから伸びたシャフトがゴム管(ミドリはスプリング)を介してアングルを付けられ、尾輪に動力を伝えます。ギヤボックスの前方に伸びたシャフトが同時にプロペラを回わす仕組みです。このキットにもマブチNo.15が入っていました。不思議なことにあまり良くない「零戦」自体の外形までよく似ていて、ひょっとすると両社が社外の同一人物に設計を依頼したのでは?〜とつい想像をたくましくしてしまいます。
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