「青竹色」
日本機ファンとして気になる塗装、個人的に操縦席内部の塗色「青竹色」について常々思うことがあるので述べさせていただきます。
「青竹色」とは一般に防蝕を目的とした青緑の透明塗料(あるいはそれを塗った箇所の金属地が透けて見える状態)を指すのですが私はむしろ現在、三菱系もしくは中島系機内色等とよばれている不透明灰緑色を指す言葉ではなかったか〜と思うのです。根拠としては「青竹色」という色名は一般に門松に使う若竹のような色を指すからです。根拠がこれだけなんで、今となってはこれを証明するのは非常に難しいのですが...。
とりあえず国語辞典で「青竹」を引いてみましょう。
「青竹」アオダケ/1. 幹の青いたけ 2. 緑色の染料 3. ふえの別名〜とあります。日本語の「あお」には緑と青と両方を指す場合があるのは知られていますが、一般に古い言葉ほど「あお」がグリーンを指すようです。一方ブルーを意味する字には藍、碧、蒼などが使われました。「あおだたみ」「あおだいしょう」「あおば」「あおのり」「あおりんご」「あおむし」「あおまめ」など「緑」それも特定の新緑のような黄緑色を連想させる言葉は多く存在します。これはごく一般に認識された色でモデラー以外の人に聞いても普通「青竹色」と言えばこのカテゴリーに入る色を指します。レベルカラーが発売されたころ「青竹色」と呼ぶメタリックブルーグリーン塗料に抵抗を覚えたのは私だけではないと思います。実際塗装に関する資料でカラーチップ等の色がメタリックでありながら意識的に「竹の色」と呼んでもいいような色に調色されている(!?)のを見受けます〜とあえて言うのも以下の興味深い報告があるからです。スミソニアン航空宇宙博物館のロバート・ミケシュ氏がその著書Monogram Close-Up "Japanese Cockpit"のなかで「防蝕用透明塗料にグリーンとブルーの2種があったとする説があるが、操縦席内部が緑色透明塗料に塗られた日本機の補器類を外した際その下から出て来たのはいずれも深い青色透明塗料であり、露出した部分の色がもとの青から緑色に変化してしまっていた事が確認できた。」と述べています。紫外線のため青から緑に変色したと思われますが、そのつもりで残骸などの写真を注意してみると青と緑のグラデーション状になった箇所も確認できました。リアルタイムではアルマイトのコップのようなキレイな青色であったわけで、こうなるとますます竹を連想する様な色でなかったと思われます。私が思うに戦前、大戦初期にはコクピット内に多く使われていた不透明灰緑色を指す言葉「青竹色」が行程の簡略あるいは塗料自体の変更にかかわらず、機内塗装色一般を指す言葉になっていたのではないかと思われるのです。(注、私のフォトギャラリーに掲載した写真の一式陸攻は後期型にもかかわらず内部はほとんど不透明灰緑色で塗られている。)以上のことは状況証拠だけで仮説の域をを出ることはないでしょう。また私は言葉の由来がどうであれ、ある言葉が特定の色を指すのであればこれに異議を唱えるつもりもありません。ただこの「青竹色」という言葉、なにか釈然としないものがあり以上のような推測をしてしまうのです。皆さんどう思われますか。皆さんのご意見お待ちしております。
3月20日