レベル1/32零戦キット
1968年発売のレベル1/32零戦52型キットは当時ベストセラーとなり、当時のモデラーなら誰しも一度は作ったことのあるキットではないでしょうか。キットそのものの出来は今のスタンダードからすれば拙いものですが、レインウッド氏の素晴しい箱絵と相まって今でも忘れ難いキットのひとつです。その後1976年にT.V.シリーズ "Baa Baa Black Sheep"のパッケージで1/32コルセアとペアで発売され、1988年にスミソニアン・シリーズの一機、NASMの零戦61-131号機として再版されています。70年代テレビ映画の"Baa Baa Black Sheep"は、海兵隊のコルセア・エース、ボイントンの自叙伝をテレビ化したものですが、この1/32零戦キットのパッケージに使われたのはなんとTー6改造のハリウッド零戦の写真です。
初版パッケージには、「オンタリオ博物館にある実機を調査取材し、それを元に忠実にモデル化した。」と表示してありますが、このキットはチノの里帰り飛行で有名なあのプレーンズ・オブ・フェイムの零戦52型を取材して作られています。(オンタリオ博物館はプレーンズ・オブフェイムの前身)同シリーズ、1/32コルセアのパッケージにも「オンタリオ博物館で〜」と、同じ表示があります。一方1/32 P-51Bキットには同じくロサンジェルス・オレンジカウンティーにあった映画航空博物館で実機を取材したとあります。当時ロスアンジェルスのベニスにあったレベル本社からは、オンタリオ空港へも、オレンジカウンティーの航空博物館へも車で一時間位ですから、取材には絶好のロケーションだった訳ですね。その割には出来がいまひとつ〜という声もありますが^^;
この1/32零戦キットのモールドを見ると、チノの零戦の当時の様子が写出されていて興味深いです。たとえば、フェイクのテイルコーンが大きなマイナスネジでとめてあったりするのは、まさに当時展示してあった状態そのもので、これは写真で確認できます。団子っ鼻のスピナーなども同じ理由で、当時すでにオリジナル部品が無くなっていたためです。また想像で作られた胴体銃カバーもオリジナルとは違うものになっていますし、落下増槽にいたっては1/48クラスの小さなものになっています。
レベル同シリーズの1/32 Bf-109F(後にGも発売)の機首下部には段差があり「必ず修正すること。」と発売当時から模型誌に書かれていましたが、実はこれも同博物館が所有する後期 Bf-109G-10 特有のふくらみを見誤ったものではないかと、私は想像してます。
右の写真は32型に改造したレベル1/32の零戦です。カウル、脚などはハセガワ1/32零戦から流用してます。今どきこの古代キットを作る人もいないと思うので取り上げて見ました。一般にハセガワ1/32のほうがレベルに勝るとされていますが、どちらのキットも今の目から見ると間違いが多くまともに作るのは相当骨の折れる仕事です。レベルはたしかに胴体後部は隼みたいに細いし尾翼もぼってりと形が悪いのですが、ある種、零戦の持つ雰囲気を再現していて好きなんです。風防もスライドするし。^^)私は上記ハセガワのパーツをレベルにくっつけただけでこれらの修正はしてません。でもこれだけでけっこう雰囲気は出ますよ。
戦中ブナで連合軍に捕獲され飛行テスト受けた有名な32型の写真が数多く残っています。このテストされた零戦32型は数機分のパーツから復元されたものですが、このレベル1/32零戦52型キットを見ていると、どこか似た印象があり32型に改造してみたくなったのです。これは個人的な印象かもしれませんがレベルはこの写真も参考にしたのでは?〜と勝手に想像してます。コンテストに出せるプロジェクトではないですけど、すべて筆塗りで楽しんで作りました。最近こいうい動機ばかりでプラモを作ってます。^^)まだ無印ですが今どのマーキングにしようか迷っています。やっぱり報国マーキングかな?
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