レベル1/32 ハリケーンMkIIC

1970年に発売されたHー217 レベル1/32ハリケーンMk Iキットは実際にはイギリス・レベルが手がけた1/32の第一作ですが、同シリーズ初期のBf-109F やスピットファイアに比べると質が下降線を辿り始めた時期のものです。ハリケーンMk1は70年代前半に姿を消し以来2度と発売されていません。その後発売されたMk2に金型が改修されたらしくMk1は事実上絶版と思われます。翼のモールドを見てもほぼ確実です。Mk2cは箱替えで以後数回発売されていますが、20mm機銃、スピナーなどが変更になり、ボークスのサンドフィルターもオプションで追加されました。

箱を開けると全面凸ディテール!、今では時代遅れと評されるディテールながら羽布の縫い目まで良く表現してあり、こういう彫刻的表現は私は大好きです。スリ落として彫り直すなんて考えてはイケマセン。筆でベタベタ厚塗りしましょう。ディテールは絶対ツブれないし、塗終わるとちょうどイイかも?^^;

以前に洋物が作りたくて資料を眺めていて、突然レベルの1/32、ハリケーンMkIIcを "OUT OF BOX !" で一日でカタチにしました。(よって質は推して知るべし^^)もちろんキットの怪しい機種のカタチや前部風防、車輪、尾輪など目をつぶってます。基本の色を塗った後、数ヵ月放っておいたのですが(そうするとキットの間違いも忘れる?^^;)ちょこちょこ暇を見て塗り足したりして最近やっと完成しました。デカールは昔から嫌いなんですが最近は筆ムラさえも魅力的に見えてきて、わざと色をそのつど変えて(退色?)まだらに塗ったりいろいろ変な事してます。マーキング類からすべて筆塗りでやりました。ほとんど模型をカンバスにして油絵を描くようにやってます。ちなみに今回使ったキットはキットナンバー4457 、スミソニアンシリーズのハリケーンMk IIcキットです。

塗装は夜戦。RAF 片腕のエース、ジェイムズ・マクラクリンの機体です。その戦歴と彼のどこか寂しげな笑顔にひかれて決めました。戦歴は出版物に詳しいので割愛しますが、ハリケーン・イン・アクションに写真が載っている(キャプションの"JO-Q"、1941年7月撮影はともに間違い。)機首部にパーソナルマーキングのある機体が作りたくて調べたところ、機体全体の写真がないのでシリアルがわからず、結局フライト.ログにあるBE215とBD983の2機の内、使用頻度の高いs/n BD983だろうと推定しました。

となりの芝生は青い〜じゃないですけど、「日本機より恵まれているだろう。」と思っていたのですがRAF関係の資料も意外に不明な点が多いようですね。インアクションの写真は1942年5月頃の撮影と推定しました。(キャプションの1941年7月にはマクラクランはこのスコードロンに着任していません。)この時期、他のスコードロンの夜戦はすべて通達通りにコードレターを赤に、国籍マークも黄縁の細いC1ラウンデルに塗り変えています。よく発表されるマクラクリンの塗装図が赤のコードレターとC1ラウンデルになっているのはこれが理由だと思われますが、マクラクランのNo.1スコードロンはA1ラウンデルにグレイコードそのままのだったようです。同時期に撮影された黒塗装にグレイのコードレター、A1ラウンデルを持つ"JXーP"の写真を見つけ確信を持って塗って見ました。ちなみに彼のパーソナルマーキング、打抜かれた左腕はよく発表される塗装図のように手の甲を向けてではなく、手の内側を向けて描かれています。

コレクションばかりでキットを作らない事には始まりませんが、私のストレート組みには実は「カタログばりに“レベルのキット”をストレートで完成させ、集めたい。」というキット・コレクター的要素もあるんです。さて次はあの悪名高い独特の機首(!)を持ったリベットボツボツのレベル1/32 Pー51Bかな!? 未完成病の後遺症でしょうか...。^^)

英国機と言えば10年位前、BBC製作の連続テレビドラマで「PIECE OF CAKE」というタイトルのRAFスコードロンの話がありました。同名の原作(フィクション)も読みましたが実在のスコードロンをモデルに描かれています。連続6時間というタイムスパンで描かれた一握りの男たちのドラマに2時間の戦争映画では決して描ききれない世界があり大ファンになってしまいました。日本でも紹介された(ビデオのみ?)と聞いたのですが機会があったら是非チェックしてみて下さい。

 

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